動物はみな“妊娠を一時停止”できる!? 人間もできる可能性…注目の「胚休眠」を徹底解説!



驚くべきことに多くの哺乳類に妊娠を“一時停止”できる能力が備わっているという。それは“胚休眠”と呼ばれるミステリアスな現象だ。


 現在、130種以上の哺乳類が妊娠を一時停止できることが確認されている。特にオーストラリア大陸に生息している動物種の3分の1以上は胚休眠ができるとされていて、ポッサムなど一部を除く有袋類のカンガルーとワラビーは胚休眠が可能だ。


 胚休眠期間の最長記録保持者はそのワラビーで、なんと最長で11カ月間、妊娠を一時停止できることが確認されている。


 胚休眠の現象については1850年代から確認されていたのだが、そのメカニズムの解明はなかなか進まず、科学的な研究対象になったのは1950年代に入ってからだという。


 しかし最近になって再び魅力的な研究分野として脚光を浴びることになった。胚休眠の研究は妊娠のメカニズムのみならず、幹細胞やがんの研究にもきわめて役立つ知見になることが見込まれているのである。


胚休眠の2つの戦略

 妊娠の進行を一時停止することの主な利点は、交配と出産を分離できることにある。動物がこれを行う理由は主に2つあるということだ。


 1つ目の戦略は、出産後すぐに交配してできるだけ早く次の妊娠をすることからくる。生まれたばかりの新生児に何か不幸が起こった場合に備えてのことなのだが、新生児に問題がなく順調に子育てを始められた場合には、授乳期間を十分に確保するために胚休眠を行い、次の子どもの出産を先延ばしにするのである。


 2つ目の理由は、適切な時期に出産するためである。例えばミンクは3月の初めごろに交尾をするのだが、北半球で春分が過ぎるまで胚休眠を行い妊娠を一時停止するという。これにより、寒い時期ではなく確実に暖かい春が訪れてから出産することができるのだ。


ワラビーはこれらの2つの戦略を組み合わせて、ほぼ1年間妊娠を一時停止し、必ず1月に出産して子育てができるようにコントロールしている。こうすることで、新生児はオーストラリアの暑い夏の真っ盛りでなく、次の年の春に母親の袋を離れることができるようになるのだ。

 多くの哺乳類で胚休眠が行われていることが明らかになり、その実態についての理解が深まっているのだが、依然として生理学的なメカニズムについては、まだよくわかっていない。胚休眠を制御するホルモンも哺乳類の種によって異なっているのだ。

 それでも徐々にではあるが胚休眠の解明は進んでおり、人間を含むすべての哺乳類に胚休眠が可能性としてあることが暗に示されているといえそうだ。

 胚休眠の研究は生殖医療と再生医療、そしてがん治療の分野においても大きな可能性を秘めていることから、意外にも今後もその動向に目が離せない注目の研究分野であるようだ。


参考:「Sience Alert


The Conversation


トカナ

https://tocana.jp/2019/11/post_123669_entry.html


哺乳類の研究は興味深い。

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